訪問看護のリハビリ減算?理学療法士等による訪問看護の評価の見直しについて
【訪問看護】リハビリ減算
はじめに
介護報酬改定の波が、再び訪問看護の現場に押し寄せています。令和6年度の改定では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職による訪問看護の評価が見直され、特定の条件下では報酬減算が行われることになりました。この変更は、訪問看護における看護師の役割を明確化し、質の高いサービス提供を促進するためのものですが、現場にとっては大きな影響を与える可能性があります。
今回の記事では、この制度変更の内容を詳しく解説し、現場への影響や対応策について考えていきます。
減算の対象となるのは?
- 訪問看護事業所において、前年度のリハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)による訪問回数が、看護職員の訪問回数を超えている場合。
- かつ、以下の3つの加算をいずれも算定していない場合。
- 緊急時訪問看護加算
- 特別管理加算
- 看護体制強化加算
つまり、リハビリ専門職の訪問回数が看護師の訪問回数を超えていて、特別なケアや体制に対する加算も受けていない場合に、減算の対象となります。
減算される単位数は?
- 訪問看護の基本報酬から、1回あたり8単位が減算されます。
- さらに、介護予防訪問看護を利用開始日から12ヶ月を超えて行った場合、
- 上記の減算に加えて、さらに1回あたり15単位が減算されます。
- なお、上記の基本報酬減算がない場合は、1回あたり5単位が減算されます。
前年度の理学療法士等による訪問回数の数え方
前年度の理学療法士等による訪問回数の数え方ですが、少し特殊なルールがあります。これらのルールを踏まえて、前年度の理学療法士等による訪問回数を正確に把握し、減算の対象となるかどうかを判断する必要があります。
- 基本的な考え方
- 原則として、訪問看護を行った回数を数えます。
- 訪問看護費と介護予防訪問看護費の訪問回数は合算して数えます。
- 特別なルール
- 連続訪問は1回と数える: 同じ日に連続して2回訪問した場合、訪問回数は1回とみなされます。例えば、3月1日に午前と午後に訪問した場合、訪問回数は1回です。
- 連携型の訪問回数を含める: 連携型の定期巡回・随時対応型訪問介護看護による訪問回数は含まれます。
- 具体例
- 3月1日に理学療法士が2回訪問、3月3日に理学療法士が2回訪問した場合
- 算定回数は4回ですが、訪問回数は2回となります。
- 3月5日の午前に理学療法士が1回訪問、午後に連続して2回訪問した場合
- 算定回数は3回ですが、訪問回数は2回となります。
- 3月1日に理学療法士が2回訪問、3月3日に理学療法士が2回訪問した場合
問 28
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下「理学療法士等」という。) による訪問看護の減算の要件である、 前年度の理学療法士等による訪問回数は、 連続して2回の訪問看護を行った場合はどのように数えるのか。(答)
理学療法士等による訪問看護の減算に係る訪問回数については、理学療法士等が連続して2回の訪問を行った場合は、1回と数える。 例えば、理学療法士が3月1日と3月3日にそれぞれ2回ずつ訪問を実施した場合、算定回数は4回であるが、訪問回数は2回となる。また、 理学療法士等が3月5日の午前に1回、午後に連続して2回訪問を実施した場合は、 算定回数は3回、訪問回数は2回となる。問 29
前年度の理学療法士等による訪問回数はどのように算出するのか。(答)
居宅サービス計画書、訪問看護報告書及び訪問看護記録書等を参照し、訪問回数を確認すること。
問 30
前年度の理学療法士等による訪問回数には、連携型の定期巡回・随時対応型訪問介護看護による訪問回数は含まれるか。(答)
引用元:令和6年度介護報酬改定 Q&A VOL.1
含まれる。
問1
減算の要件のひとつに「当該訪問看護事業所における前年度の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問回数が、看護職員による訪問回数を超えていること。」とあるが、この訪問回数は、訪問看護費と介護予防訪問看護費で別々で数えるのか。それとも合算して数えるのか。(答)
指定訪問看護事業者が指定介護予防訪問看護事業者の指定を合わせて受け、一体的に運営されている場合については合算して数える。同様に、緊急時(介護予防)訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算((Ⅰ)又は(Ⅱ)あるいは(予防))に係る要件についても、訪問看護費と介護予防訪問看護費における双方の算定日が属する月の前6月間において、加算の算定実績がない場合には、所定の単位を減算する。
引用元:令和6年度介護報酬改定 Q&A VOL.2
まとめ
訪問看護のリハビリ減算?理学療法士等による訪問看護の評価の見直しについて解説しました。今回の改正によって、リハビリ専門職の訪問が過剰で、特別な加算も受けていない訪問看護事業所では、報酬が減ってしまいます。 減算を回避する鍵は、リハビリ専門職と看護師の訪問回数、そして特定の加算にあるといえるでしょう。
しかしながら、今回の介護報酬改定は、訪問看護における看護師の役割を明確化し、質の高いサービス提供を促進するためのものです。減算を回避するためだけでなく、利用者にとってより良いサービスを提供できるよう、今回の改定を前向きに捉え、サービス体制の見直しや改善に取り組むことも重要です。
今回の記事が、貴社の訪問看護ステーション経営に少しでもお役に立てれば幸いです。