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上場廃止の可能性は?サンウェルズ 不正請求を事実上認める

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目次

共同通信による報道内容(2025年1月12日)

パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を全国で運営する東証プライム上場の「サンウェルズ」(本社・金沢市)が、入居者への訪問看護で不適切かつ過剰な診療報酬を請求していたと指摘されていた問題について、同社が2024年末の社内連絡で、これらの請求を事実上認めていたことが、2025年1月12日の共同通信の報道で明らかとなりました。

2025年3月期半期報告書への影響は?

サンウェルズは、同社が設置した第三者による特別調査委員会による不正調査が長期化することを理由として、2025年3月期半期報告書の提出期限を、2024年11月14日から2025年2月12日に延期しています。今回の共同通信による報道は、延長後の期限までちょうど残り1ヶ月を切るタイミングでの報道となりました。

一方で、特別調査委員会による調査報告は、今回の報道時点で、まだ発表されいない状況にあります。社内における財務諸表の修正手続、監査法人によるレビュー手続は、特別調査委員会の調査報告後に、当該内容に基づいて実施されることが考えらます。

この点、不正の事実が明らかとなっているため、監査法人の監査計画の修正や追加的な審査手続が必要となります。また、単に進行期の収益のみを修正するだけとはいかず、遡及修正、後発事象注記、継続企業の前提注記、偶発債務注記、減損の見積り、税効果の見積り等、広範な論点を整理する必要があり、相当程度の追加的な監査工数が想定されます。監査手続が完了しない場合、2025年3月期半期報告書に対する結論の不表明や、2025年3月期半期報告書が期限内に提出できないことも想定されます。

東証の上場廃止基準

監査手続が完了しない場合や売上の遡及修正の影響が大きい場合には、以下の上場廃止基準に抵触する可能性があります。サンウェルズは、2022年6月にグロース市場への上場後、2024年7月という短期間でプライム市場に移行した注目の企業であり、上場廃止になった場合、経済界や介護福祉業界に大きな影響を及ぼすことが想定されます。

項目上場廃止基準(各市場共通)
有価証券報告書等の提出遅延監査報告書又は期中レビュー報告書を添付した有価証券報告書又は半期報告書を法定提出期限の経過後1か月以内に提出しない場合(有価証券報告書等の提出期限延長の承認を得た場合には、当該承認を得た期間の経過後8日目(休業日を除外する。)までに提出しない場合
虚偽記載又は不適正意見等a. 有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき

又は

b. 財務諸表等に添付される監査報告書又は中間財務諸表等に添付される期中レビュー報告書に「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき
上場契約違反等a. 上場会社が上場契約に関する重大な違反を行った場合、新規上場申請等に係る宣誓事項について重大な違反を行った場合又は上場契約の当事者でなくなることとなった場合

又は

b. 上場会社が新規上場の申請に係る宣誓書において宣誓した事項について違反を行い、新規上場に係る基準に適合していなかったと当取引所が認めた場合において、1年以内に新規上場審査に準じた上場適格性の審査に適合しないとき
その他銀行取引の停止、破産手続 ・再生手続・更生手続、事業活動の停止、不適当な合併等、支配株主との取引の健全性の毀損(第三者割当により支配株主が異動した場合)、株式事務代行機関への不委託、株式の譲渡制限、完全子会社化、指定振替機関における取扱いの対象外、株主の権利の不当な制限、全部取得、株式等売渡請求による取得、株式併合、反社会的勢力の関与、その他(公益又は投資者保護)

引用元:上場廃止基準の概要 | 日本取引所グループ

売上不正に関連した上場廃止事例

  • 株式会社アルデプロ
    • コード:8925
    • 市場区分:スタンダード市場
    • 上場廃止日:2024年4月23日(火)
    • 理由:内部管理体制確認書の提出前で、内部管理体制等について改善の見込みがなくなったと当取引所が認める場合に該当するため
      • (有価証券上場規程第601条第1項第9号b)
  • グレイステクノロジー株式会社
    • コード:6541
    • 市場区分:市場第一部
    • 上場廃止日:2022年2月28日(月)
    • 理由:有価証券上場規程第601条第1項第10号
      • (四半期報告書の提出遅延に該当するため)
  • 株式会社ディー・ディー・エス
    • コード:3782
    • 市場区分:グロース市場
    • 上場廃止日:2023年8月4日(金)
    • 理由:有価証券上場規程第601条第1項第9号b
      • (内部管理体制確認書の提出前で、内部管理体制等について改善の見込みがなくなったと当取引所が認める場合に該当するため)
  • アジア開発キャピタル株式会社
    • コード:9318
    • 市場区分:スタンダード市場
    • 上場廃止日:2023年4月30日(日)
    • 理由:有価証券上場規程第601条第1項第9号e
      • (内部管理体制確認書が再提出され、内部管理体制等について改善がなされなかったと当取引所が認める場合に該当するため)
  • 五洋インテックス株式会社
    • コード:7519
    • 市場区分:JASDAQスタンダード
    • 上場廃止日:2021年7月26日(月)
    • 理由:有価証券上場規程第604条の2第1項第3号
      • (関連規則は同規程第601条第1項第11号の2c)
      • (内部管理体制確認書が提出され、内部管理体制等について改善がなされなかったと当取引所が認める場合(内部管理体制等について改善の見込みがなくなったと当取引所が認める場合に限る。)に該当するため)
  • モジュレ株式会社
    • コード:3043
    • 市場区分:JASDAQグロース
    • 上場廃止日:2016年11月1日(火)
    • 理由:有価証券上場規程第604条の4第1項第2号
      • (関連規則は同規程第601条第1項第10号)
      • (有価証券報告書の提出遅延に該当するため)

引用元:日本取引所グループ

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