【児童発達支援・放課後等デイサービス】集中的支援加算のポイント【令和6年度障害福祉報酬改定】
令和6年度報酬改定!児童発達支援・放課後等デイサービスにおける集中的支援加算を解説
集中的支援加算は、強度行動障害の状態が悪化し、現状のサービスでは対応が困難になった利用者に対して、専門性の高い広域的支援人材による集中的な支援を評価し、適切な支援体制を構築することを目的として導入されました。
背景には、強度行動障害の悪化により、利用者本人や周囲への影響が深刻化し、既存の障害福祉サービスの利用や日常生活の維持が困難になるケースが増加している現状があります。このような状況に対応するため、専門的な知見を持つ広域的支援人材が、事業所等と連携して集中的な支援を行い、利用者の状態改善と安定的な生活の確保を図ることが求められています。
概要
状態が悪化した強度行動障害を有する児者に対し、高度な専門性により地域を支援する広域的支援人材が、事業所等を集中的に訪問等(情報通信機器を用いた地域外からの指導助言も含む)し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理を事業所等とともに行い、環境調整を進めることを評価する。
単位数
【児童発達支援・放課後等デイサービス】
集中的支援加算:1,000単位/日
※ 強度行動障害を有する児者の状態が悪化した場合に、広域的支援人材が指定障害者支援施設、共同生活援助事業所等を訪問し、集中的な支援を行った場合、3月以内の期間に限り1月に4回を限度として所定単位数を加算
算定要件等
〇 本加算は、強度行動障害を有する児の状態が悪化した場合に、高度な専門性を有する広域的支援人材を障害児通所支援事業所に訪問等させ、集中的な支援を行った場合に算定するもの
【対象となる児】 強度行動障害を有する児(児基準20点以上)であって、状態が悪化して障害児通所支援の利用や日常生活の維持が困難な状態となっている児(申請に基づき市町村が判定)
【主な要件】
・ 広域的支援人材(※) を事業所に訪問させ、又はオンライン等を活用して、広域的支援人材が中心となって、対象となる児に対して集中的支援を行うこと
(※)強度行動障害を有する児者の支援に関して高度な専門性を有すると都道府県(政令市・児相設置市含む)が認めた者であって地域において支援を行うものをいう(都道府県において、中核的支援人材研修の講師や発達障害者支援地域マネジャー等から選定し、名簿を作成)
・ 「集中的支援」については、
① 広域的支援人材が対象となる児及び事業所のアセスメントを行った上で、広域的支援人材と事業所が共同し、対象児の状態・状況の改善に向けた環境調整その他の必要な対応・支援を短期間で集中的に実施するための集中的支援実施計画(事業所全体の支援の進め方の計画)を作成し、
② 事業所において、広域的支援人材の助言援助を受けながら、集中的支援実施計画及び個別支援計画(実践研修修了者を配置している場合は併せて支援計画シート等)に基づき支援を実施すること
・ 広域的支援人材から、訪問又はオンライン等の活用により、対象となる児への支援が行われる日及び随時に、対象児の状況や支援内容の確認を受けるとともに、事業所への助言援助を受けること(なお、本加算の算定は、対象児に支援を行う時間帯に、広域的支援人材から訪問又はオンライン等を活用して助言援助等を受けた日に行うものとする)
・ 集中的支援実施計画について、広域的支援人材と共同し、概ね1月に1回以上の頻度で見直しを行うこと
・ 対象児の状況及び支援内容について記録を行うこと
・ 集中的支援を実施すること及びその内容について、保護者に説明し、同意を得ること
・ 広域的支援人材に対して、本加算を踏まえた適切な額の報酬を支払うこと
・ 対象児が複数の事業所を併用している場合にあっては、これらの事業所とも連携し集中的支援実施計画の作成や支援を行うこと。なお、複数事業所がそれぞれ広域的支援人材の助言援助を受けて支援を行う場合には、それぞれが本加算を取得することを可能とする
・ 支援にあたっては対象児の障害児相談支援事業所とも緊密に連携すること(セルフプランの場合には市町村において速やかに相談支援につなげること)
〇 本加算については、市町村が事業所から集中的支援実施の申請を受け、実施の必要性を検討し、都道府県が広域的支援人材の名簿(都道府県が予め作成・共有)から広域的支援人材を選定し、その派遣を調整する枠組みを構築して、運用するものとする。広域的支援人材は、支援終了後に集中的支援の実施報告書を市町村及び都道府県に提出するものとする(「状態の悪化した強度行動障害を有する児者への集中的支援の実施に係る事務手続等について」(令和6年3月19日付こども家庭庁障害児支援課長・厚生労働省障害福祉課長通知)参照)
〇 強度行動障害児支援加算との併算定は可能
令和6年度障害福祉報酬改定 Q&A VOL.1~VOL.3
(集中的支援加算)※厚生労働省Q&A VOL.2 問 12 と同様
VOL.2
問 15 広域的支援人材が集中的支援実施計画を作成する際に利用者と生活環境のアセスメントを実施する場合にも集中的支援加算(Ⅰ)を算定できるとされているが、具体的にはいつ請求するのか。
(答)
〇 集中的支援開始後、速やかに請求するものとする。なお、この場合においても1月に4回の算定回数に含まれることに留意すること。
(集中的支援加算)※厚生労働省Q&A VOL.2 問 13 と同様
VOL.2
問 16 集中的支援加算(Ⅱ)(居住支援活用型)を算定する場合において、利用者が利用していたサービスの支給決定や利用契約の取扱如何。
(答)
〇 居住支援活用型の集中的支援を実施する場合で支給決定の変更が必要な場合や、新たな障害福祉サービス等の利用が必要となった場合は、支給決定自治体が必要な支給決定の手続きを進めることとなるが、当該加算においては、利用者が集中的支援を受けた後は元の事業所等に戻ることを基本としているため、必要な支給決定を残しておく等、円滑なサービス利用を図ること。
また、例えば障害児入所施設を利用する障害児に対して、別の障害児入所施設を活用した居住支援活用型の集中的支援を実施する場合には、元の障害児入所施設に戻ることを前提に利用契約を解除せずに残すなど、必要な対応を行うこと。
(集中的支援加算)※厚生労働省Q&A VOL.2 問 14 と同様
VOL.2
問 17 集中的支援加算(Ⅱ)(居住支援活用型)を算定する場合において、利用者が利用していた事業所等の役割如何。
(答)
〇 居住支援活用型の集中的支援は、自傷や他害など、本人や周囲に影響を及ぼす行動が非常に激しくなり、現状の障害福祉サービス等の利用や生活を維持することが難しくなった児者に対して、居住の場を移して集中的支援を実施するものであり、当該児者が集中的支援を受けた後は元の事業所等に戻ることを基本としている。
したがって、当該児者を受け入れて集中的支援を実施する施設・事業所が、広域的支援人材の助言援助の下でアセスメントや環境調整等に取り組むに当たっては、元の事業所等の職員も積極的に参画し、集中的支援の実施後に円滑に支援が再開できるよう、支援の内容を引き継いでいくことが重要である。
なお、広域的支援人材が作成する集中的支援実施計画においても、集中的支援実施報告書に基づく引き継ぎも含め、あらかじめ集中的支援終了後に当該児者が利用する事業所等への支援も記載し、円滑な引き継ぎ等を行うことが重要である。
(集中的支援加算)※厚生労働省Q&A VOL.2 問 15 と同様
VOL.2
問 18 集中的支援加算(Ⅱ)(居住支援活用型)を算定する場合において、広域的支援人材が集中的支援終了後に利用者が利用する事業所等への環境調整等の支援を行った場合に、当該支援を行った日は加算(Ⅰ)の算定は可能か。可能である場合、訪問ではなくオンラインによる助言援助の場合でも可能か。
(答)
〇 集中的支援実施計画に基づいて、居住支援活用型の集中的支援終了後に利用者が利用する事業所等への環境調整等の支援を行った場合も算定可能である。
なお、居住支援活用型の集中的支援を活用する場合(加算(Ⅱ))においては、利用者が集中的支援を受けた後は元の事業所等に戻ることを基本としているため、広域的支援人材が作成する集中的支援実施計画において、集中的支援実施報告書に基づく引き継ぎも含め、あらかじめ集中的支援終了後に利用者が利用する事業所等への支援も記載しておくこと。
また、加算(Ⅰ)の算定は、訪問又はオンラインを活用することを認めているので、オンラインによる助言援助の場合も算定可能である。
(集中的支援加算)※厚生労働省Q&A VOL.2 問 16 と同様
VOL.2
問 19 集中的支援加算の算定期間終了後、再度、当該加算を活用して集中的支援を実施することは可能か。
(答)
〇 集中的支援加算については、集中的支援を開始した日の属する月から起算して3月以内の期間に限り所定単位数を加算することとしており、この期間内に終了することが必要である。ただし、何らかの事情により、その後も再び集中的支援の必要がある場合には、再度、集中的支援の実施に必要な手続きを踏まえて実施することは可能である。この場合、前回の実施報告書を基に関係者において十分に集中的支援の必要性について検討を行い、改めて集中的支援実施計画を作成の上で取り組むことが必要である。
(集中的支援加算)※厚生労働省Q&A VOL.2 問 17 と同様
VOL.2
問 20 広域的支援人材に加算を踏まえた適切な額の費用を支払うこととされているが、加算による額と異なる額とすることは可能か。
(答)
〇 基本的には加算による額を広域的支援人材に支払うことを想定している。加えて、個別の状況によって必要な費用等が異なることから、加算による額を上回る額とすることは差し支えない。